他社ウェブサイトで購入したチタンピアスの材質確認レポート
ネット閲覧中、目に入ったチタンフープピアスの仕様がどうしても気になったので購入してみました。
同じ構造での商品開発に、ある個所で幾度となくつまずいているのですが商品画像を見る限り、それが解決されているように思えたのがきっかけだったのですが
同時に
「このピアスが本当に純チタンで出来ているか?」という、疑問も頭をよぎった為、調査がてら入手してみました。
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2403.jpg?resize=381%2C381&ssl=1)
開封後手にしたときの感覚ですが、長年チタンを手にしてきたものの感覚とでも申しましょうか、
手に取ってみた時、「んっ・」という感じがしたので重さを量ってみました。
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2380.jpg?resize=374%2C499&ssl=1)
精密はかりでの数値は1.26g
参考までに類似形状で少し太めの当社純チタンフープピアスの重さを量ると
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2382.jpg?resize=371%2C494&ssl=1)
数値は0.94gでした
サイズの比較は次の通りです。
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2404.jpg?resize=725%2C468&ssl=1)
サイズからすると少し重いような気がしますが形状の違いもあるので重さだけでは判断がつきません。
なので今回、当社で製造販売している簡易金属材料分別機「メタルテスター」を用い調べてみることにしました。
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2021/11/l16.jpg?resize=640%2C480&ssl=1)
本機は熱起電力の原理を応用した測定器で当社では純チタンとチタン合金の分別に用いていますが、鉄鋼、ステンレスといった他材質でも条件が合えば測定が出来るという現場で簡単に使える測定器です。
測定方法、考え方は
1)まず材質証明の出来る試材を用意し、あらかじめその測定数値を記録。
2)次に材質の分からない部品製品での測定を行い、あらかじめ記録した数値と比較し同じ値か否かで判別ができるというものです。
まず、純チタンの試材を用意します。
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2400.jpg?resize=332%2C332&ssl=1)
次に今回私が違和感を感じた際に頭に浮かんだステンレス(SUS304)の試材を用意、
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2397.jpg?resize=339%2C339&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2402-1.jpg?resize=342%2C174&ssl=1)
写真では分かりにくいですが上がステンレス(SUS304)、下が純チタン
準備した試材を測定します。
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2389.jpg?resize=360%2C480&ssl=1)
純チタンの測定、測定値は+11
次にステンレス
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2388.jpg?resize=360%2C480&ssl=1)
測定値は-6
今回、記載は割愛しますが、チタン合金(64Ti)を同一条件下で測定すると-12を示します。
次に、当社製純チタンピアスの測定を行います。
サンプル商品:純チタンフープピアス/M3
https://titankobo.co.jp/products/detail/910
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2395.jpg?resize=374%2C499&ssl=1)
試材と同じ+11を示しました。
もちろんポスト部も同じ数値です。
最後にネット通販で購入したチタンピアスと称するものの測定を行ったところ
![](https://i0.wp.com/kimura-kinzoku.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2392.jpg?resize=385%2C513&ssl=1)
数値は-6ステンレスとほぼ同じ結果が出ました。この時点で少なくとも純チタンではないことが分かります。
最終的はX線分析等による材質確定を行う必要がありますが、現場で調べる限りにおいては、ほぼステンレスではないかという結論にいたりました。
正直なところ、もし自分が仕入れたものを売るだけの会社だったらこの違いには気づけないと思います。
また、チタン製だと言われ仕入れた場合、その言葉を信じて記載するしかないというのが売り手の現状ではないかと思います。
ステンレス自体は様々な産業で使われている優れた材料です。材料を否定はしませんがチタンだと謳っているのに実際はそうではないというのは良いことではありません。
長年チタンを扱ってきた経験と与えられた環境での立場での検証を今回紹介させていただきました。